「お疲れ様」と「ご苦労様」。
どちらも相手をねぎらう言葉ですが、使い分けについてはご存じでしょうか。
ざっくりと理解している人が多いかと思いますが、使う相手を間違えると失礼にあたる場合があるので、注意しなければいけません。
この記事では、それぞれの意味や使用が適切な相手についての解説と、好印象を与える言い換えテクニックをご紹介しています。
使い分けについて今一度勉強をしたい人はもちろん、相手とのコミュニケーションをもう少し発展させたい人とって役立つ内容です。
ぜひ参考にしてみてください。
「お疲れ様」と「ご苦労様」、それぞれの意味は?

日本語を正しく使用するには、その言葉の意味をよく理解しておかなければいけません。
ここでは、「お疲れ様」と「ご苦労様」の意味をご紹介しています。
それらの意味を踏まえたうえで、使い方を考えてみましょう。
「お疲れ様」の意味
本来、”苦労をいたわる”行為は目上の人が目下の人にするものです。
そのため、日本語そのままの意味では「お疲れ様です」を目上の人へ使用するのはふさわしくないと考える人もいます。
ただ、ビジネスでは効率を重視し、覚えやすいルールを敷いているので目上の人への「お疲れ様」の使用が良しとされています。
「ご苦労様」の意味
「ご苦労様」にはさまざまな説があります。
殿様が家臣に「ご苦労であった」とねぎらうシーンは時代劇などで見たことのある人は多いのではないでしょうか。
これは、上から家臣たちの苦労を見ていた様子を表しています。
また、「ご苦労様」には”相手の苦労のわりに成果がくだらないことをバカにする”という別の意味が存在します。
たしかに、頑張って残業しているのに「夜遅くまでご苦労なことだ」なんて言い方をされたらムッとしますよね。
「お疲れ様」と「ご苦労様」はどのようなときに使うのか

次に、意味を踏まえて使い方や使う相手についてまとめています。
使い方や使う相手を間違えると失礼にあたるので、十分に注意を払いましょう。
「お疲れ様」の使い方
会社の人に「お疲れ様です」と声をかけることがありますよね。
「お疲れ様」はあいさつとして使用できます。
「お疲れ様です」は進行形ですので、業務などで苦労や疲労がまだ続く場合に使用します。
一方で、「お疲れ様でした」と過去形で使用することもあるでしょう。
「お先に失礼します」に対して「お疲れ様でした」と返す・返されることがありますよね。
これは、相手の業務などが終わり、感謝やいたわりの言葉を伝えるために使用しています。
よって、仕事中なら「お疲れ様です」、会議や業務が終わった人には「お疲れ様でした」を使いましょう。
「お疲れ様」は上下関係なく使用できます。
感謝やいたわりの気持ちを忘れずに使用しましょう。
「ご苦労様」の使い方
ビジネスルールでも、「ご苦労様」は目下の人に使用する言葉です。
あなたに部下がいる場合は、ルール上「ご苦労様です」を使用してもOKということです。
ただ、「ご苦労様」と言われることに対し、違和感や不快感を覚える人は意外にも多いです。
その違和感や不快感は、
- 偉そうに聞こえる
- 上から目線で言われているように感じる
などから生まれます。
好意的に「ご苦労様」を使用しているとしても、相手に不快な思いをさせてしまうことは好ましくありませんよね。
そのため、適切な言葉に言い換える必要があります。
相手に好印象を与える言い換え術
「お疲れ様」と「ご苦労様」は相手の苦労をいたわる言葉ではありますが、物足りなさや違和感を抱く人も多いでしょう。
ここでは、「お疲れ様」と「ご苦労様」の言い換えについて使用例と共にご紹介しています。
会話を広げたり、素直に感謝を伝えたいときに役立つテクニックですので、ぜひご覧ください。
感謝を伝えたいとき
苦労をいたわりながら感謝を伝えたい場合は、シンプルに「ありがとう」を代用してみましょう。
- 「あなたのおかげでプレゼンの準備がスムーズに進んでいます。ありがとうございます。」
- 「本日の業務では多くのことをフォローしていただき、ありがとうございました。」
- 「アドバイスをしてくださり、いつもありがとうございます。」
「お疲れ様」と「ご苦労様」よりも心がこもっていて、温かみを感じられる言葉です。
誰に対しても使用できて、アレンジの汎用性が高いのですぐにチャレンジできます。
また、感謝をされると誰でもうれしい気持ちになるので、モチベーションアップにつながり、職場の雰囲気も和やかになります。
感謝は積極的に伝えたいものですね。
寄り添った言葉をかけたいとき
「お疲れ様」と「ご苦労様」は使いやすい言葉ではありますが、その反面事務的に言ってしまうことがあります。
きちんと寄り添った言葉をかけたいときは、
- 「今日はよく頑張りましたね。ゆっくり休んでください。」
- 「忙しい日が続いていますが、お疲れではないですか?」
- 「明日でイベントも終わりますね。引き続きよろしくお願いいたします。」
などが適切でしょう。
相手の調子を伺うこともできるので、関係を良好に保てるような言葉になっているのではないでしょうか。
あいさつ+α
あいさつ代わりに「お疲れ様」と「ご苦労様」を使用している人も多いでしょう。
気楽ではありますが、少しドライな印象です。
そこで、あいさつにもう一言プラスするテクニックを紹介します。
- 「おはようございます。本日の会議ではよろしくお願いいたします。」
- 「こんにちは。今日は午後から雨が降るそうなので、営業に行く際はお気を付けくださいね。」
このように、ひと言添えることで会話の幅が広がり、コミュニケーションを円滑にとることができます。
ぜひ、あいさつにひと言添えることを意識してみてください。
メールでの言い換え
メールを送るときに「お疲れ様」を定型文として使用しますよね。
せっかくなので、バリエーションを持たせてみましょう。
- 「いつもお世話になっております。」
- 「おはようございます。」
などはいかがでしょうか?
近しい間柄の人に「お世話になっております」は少し不自然ですが、部署が違ったり、社外の人には使用できますね。
ねぎらいの言葉にバリエーションを持たせよう

「お疲れ様」と「ご苦労様」の使い分けについて、ご理解いただけましたか?
「お疲れ様」は上司や部下に使用することができ、「ご苦労様」は目下の人にのみ使用できます。
上司に「ご苦労様」と声をかけるのは失礼にあたるので、気を付けましょう。
あいさつや終業の際に「お疲れ様」を使用しますが、使用頻度が高いので事務的になりがちです。
せっかく言葉をかけるのですから、ねぎらいや感謝の気持ちを忘れてはいけません。
そこで、言い換えテクニックをいくつか紹介しました。
言い換えをすることで言葉に温かみを持たせたり、相手の調子が伺えたりします。
明日から意識できることですので、ぜひ言い換えテクニックをお試しください。
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