年収を増やしたい、新しい業界に挑戦したいなど、転職には様々な理由があります。
転職によって生活を充実させたいと思う一方で、「自分の年齢で本当に転職ができるのか?」と不安に思うこともあるのではないでしょうか。
転職については、しばしば「若いほど有利である」と言われますが、本当に若いほど転職しやすいのでしょうか?
また、転職のしやすさは業種や職種によっても変わるのか、気になる方もいると思います。
ここでは、転職の適齢期について詳しく解説します。
実際の転職率はどれくらい?年代別の転職率も紹介

「転職は若いほど有利である」というように、転職には適齢期間があると言われています。
ですが、そもそも転職活動をしている人はどれくらいいるのでしょうか?
転職者は20代が最多!転職率は過去3年間で約7.3%
マイナビキャリアリサーチLAB(2023年)によると、2021年の転職率は7.0%、2022年は7.6%、2023年は7.5%と、過去3年間で約7.3%の転職率であることがわかっています。
また、2023年の転職率を年代別に見ると、20代が34.0%と最も多く、次いで30代が32.0%、40代が22.5%、50代が11.4%となっています。
転職をしている人は、意外にも少ないと感じる方も多いのではないでしょうか。
また、「転職は若いほど有利」と言われているように、転職をしている方は実際に20代が最多になっていることがわかります。ですが、これだけで転職が若いほど有利かを判断することは難しいです。
転職にはいくつかの理由がある。年代別でも結果は違う
転職の理由について、マイナビキャリアリサーチLABによると、2023年では「給与が低かった」と答えた割合が最も多く、次いで「仕事内容に不満があった」、「会社の将来性、安定性に不安があった」が多くなっています。他にも、職場の人間関係や休日数・残業時間を理由に転職する方もおり、様々な理由があることがわかります。
転職の理由は年代によって異なります。20代と40代では、「仕事内容に不満があった」と答えた人が最多で、30代では「給与が低かった」ことが理由に挙げられました。また、50代の理由は「職場の人間関係が悪かった」と答えた人が最も多く、やはり年代によって転職理由が異なることがわかります。
なぜ転職は若いほど有利であると言われているのか?

マイナビキャリアリサーチLABの調査からは、転職率は20代の割合が最も多いことがわかります。また、一般的には転職は若いほど有利だとも言われています。では、なぜ転職は若いほど有利なのでしょうか?
仕事を覚えるのが早いと思われているから
転職が若いほど有利であると言われている理由として、覚えが早いからという点があります。人は加齢につれ記憶力が低下します。そのため、年齢の高い方は新しい業務を覚えにくく、仕事を円滑に進められないのではないかという懸念があるのです。
一方、20代の方は記憶力が維持されているので、新しい仕事もどんどん吸収していくだろうと期待されやすいです。また、若いほど体力があり、積極的に働いてくれるだろうといった期待もあります。特に、IT業界はテクノロジーの進化により新しい知識を取り入れる必要があるので、若い方が歓迎されやすい傾向があります。
人件費がかからないから
「転職が若い方が有利である」と言われるもう一つの理由として、人件費がかからないことがあります。企業によっては、年齢が高くなるほど給与を増やし、より高い役職を与えなければならないと考えている所もあります。
一方、若い社員はまだ経験を積んでいないため、少ない給与でもたくさん働くことが求められがちです。企業の立場からすれば、人件費のかかりやすい高齢の方よりも若い方を採用したいので、結果的に若い方が有利になることもあります。
会社になじみやすいと思われているから
転職は若い方が有利と言われるのは、適応力に期待されているからかもしれません。適応力とは、新しい環境に素早く対応することで、一般的に、若い方が高齢であるよりも柔軟性があると考えられています。若いうちは、経験を積んでいないために問題を起こすことも多いですが、その分改善するだけの意欲や体力があるため、次々と問題を解決していくことが期待されています。
若い方には、業務を効率的にこなすことはもちろん、人間関係でも円滑にコミュニケーションを行うことが求められています。特に、接客や販売などのコミュニケーションを重視する職種では、若いうちにどんどん対人スキルを磨いていくことが期待されやすいです。
若いうちの転職には、実はデメリットもある

「転職は若いうちがいい」と言われる理由としては、若い方が仕事を早く覚える、人件費がかからないなどがあります。ですが、若いうちの転職にはメリットばかりがあるわけではありません。ここでは、若いうちに転職する際の注意点についてお伝えします。
経験を積んでいないため、ミスを起こしやすい
企業によっては、「若い人はコミュニケーション能力が高い」「適応力がある」と考えている所もあります。ですが、実際はそうでないこともあります。
若いうちは、社会人経験が浅いため、良好な対人関係を築く知識も限られています。そのため、何気ない一言で相手の期限を損ねてしまったり、不興を買ってしまうことがあります。また、仕事のスキルを習得していないうちに転職すると、転職先でも同じミスをしてしまったり、指摘されることもあります。
「若いから何でも素早くこなすだろう」と誤解されがちですが、実際はわからないことだらけで苦労しているケースも少なくありません。そのため、早すぎる転職はかえって自信喪失を招いてしまうこともあります。
すぐに辞める人だと思われやすい
若いうちに転職を何度も繰り返していると、企業によっては「仕事をすぐに辞めてしまうのではないか?」と疑われてしまうこともあります。仕事が長続きしない人だと思われると、転職先に採用されにくくなってしまうので、要注意です。
特に、1年未満で転職する際は、転職理由を明確にすることが求められます。企業から誤解されないよう、客観的に見て正当な理由を伝えられるようにしましょう。
転職に適齢期はあるのか?具体的な年齢を知ろう

「転職は若いほど有利である」と言われるのは、若さならではの記憶力や意欲が評価されているためです。ですが、若いうちの転職は周囲からの信頼感を得にくいといったリスクも潜んでいます。また、年齢が上がるほど人件費がかかりやすく、採用されにくいこともあります。では、転職の適齢期はいつなのでしょうか?
適齢期は20代後半~30代前半
転職は、早すぎず遅すぎない年齢で行うのがベストです。20代後半~30代前半なら、社会人経験をある程度積んでいるため、転職先でも前職で学んだスキルを活かしやすいです。また、この年齢になると管理職の求人も増えるため、ステップアップを目指したい方は転職を考えるのも一つの手です。
一方、入社1年以内の転職は、仕事に慣れていないうちに転職するため、「仕事を円滑に進められないのではないか」「忍耐力がないのではないか」とマイナスな印象を持たれがちです。また、40代以降になると、管理職などより高い役職の求人はある程度見られるものの、未経験歓迎の求人は減ります。特に異業種の転職の場合は、スキルを身につけるためにも、早めに転職した方が良いでしょう。
キャリア形成のために、若い人材を求めている企業もある
厚生労働省は、企業が求人に年齢制限を設けることを禁じています。そのため、「若いから採用する」「高齢だから採用しない」といった決定をすることはできません。
ただし例外として、キャリア形成のために若い求職者を採用することは認められています。その適用年齢は、35歳未満であることが多いです。このことを踏まえれば、スキルアップを目指している方は、若いうちに転職をした方が有利になると言えます。
とはいえ、近年は年齢よりも実力が判断基準にされることが多いため、スキルや経験を積んでから転職した方がアピールポイントになります。また、即戦力を求めている企業では、スキルを積んでいるほど活躍しやすいので、やはり前職でのスキルアップは欠かせません。
40~50代でも転職は可能
求人に年齢制限をかけることは、厚生労働省によって禁じられています。ですが、キャリア形成のために若い方を採用するなど、企業は年齢を基準にしながら採用することもあります。若い方は様々な理由で採用されやすいと言われていますが、40~50代の方でも転職活動はできるのでしょうか?
結論から言えば、40~50代でも転職は可能です。ただし、若い年代よりも厳しくなることは否めません。40~50代になると、求人は若い年代よりも限られてきます。また、40~50代向けの求人は、多くが経験やスキルを求めているため、未経験の方は応募しにくくなります。
もし40~50代で転職を考えている場合は、自分のスキルや経験を整理し、しっかり企業にアピールできるようにしましょう。また、未経験の場合は転職エージェントを利用するなどして、専門のアドバイザーの力を借りながら転職活動を行うのがおすすめです。
転職を成功させよう!転職活動をする際におさえておきたいポイントを紹介

「転職したいけれど、何から始めればいいのかわからない」。転職を考えている方の中には、そのような悩みを持った方もいるでしょう。転職活動をする際は、これまで培ってきたスキルを客観視しながら、自分がどのような目的で転職するのかをはっきりさせることが大事です。ここでは、転職活動をする際のポイントを3つ紹介します。
転職する前に、目的を明確にする
転職をする際は、まず自分がなぜ転職をしたいのかを明確にしましょう。目的を考える際は、「人間関係が上手くいかなかったから」「仕事についていけなかったから」などのマイナス面を挙げないようにすることが大事です。人間関係や仕事が上手くいかなかった場合、転職先でも同じミスを繰り返す恐れがあります。
代わりとして、「スキルアップを目指したいから」「年収を増やしたいから」など、よりポジティブな目的にしましょう。年収を増やしたい場合は、どれくらい増やしたいのかを設定し、スキルアップを目指す場合は、どのようなスキルを身につけたいかを考えます。より具体的に考えれば、条件に合った求人が探しやすくなるので、事前にしっかり分析しましょう。
転職先をしっかり分析しておく
転職活動をする際に、「専門スキル不要」「未経験者歓迎」「年収~万円」という条件だけで企業を判断していませんか?企業には、それぞれ社風があり、人間関係もそれぞれのあり方があります。例えば、チームワークを重視する企業に、自立した人材として自分をアピールしても、社風と合わずに採用されにくくなってしまうこともあります。
求人を探す時は、与えられた条件だけで判断するのではなく、どのような人間関係が築かれているのかを見ることも非常に重要です。せっかくスキルや経験を積んでいても、人間関係がこじれてしまうと仕事が円滑に進みません。転職する際は、それぞれの社風があることもしっかり把握しておきましょう。
また、転職する際は、働きやすさを見ておくこともポイントです。特に、20代後半~30代前半になると、「仕事と家庭を両立させたい」という方も増えてきます。ワークライフバランスが整っているかを見るには、休業制度が整っているか、有給休暇の消化率は高いか、残業は少ないかなどをチェックしておくことが大事です。自分の生活に合わせて働ける環境であるか、転職前によく見ておきましょう。
本当に転職する必要があるのかを再度考える
転職する際は、「本当に転職が必要なのか?」と考えることも大事です。en人事のミカタ(2019年)によると、直近3年間で入社した中途入社者の定着率は、「70~79%」「100%」が最も多かったことがわかっています。全体の約6割が「70%以上」と、一見定着率が高いように見えますが、定着率が「60%以下」の割合を見てみると、全体の約4割を占めていました。この結果から、転職後に離職する人は決して少なくないことがわかります。
業種や職種にもよりますが、転職には、年収が下がる可能性がある、前職のスキルを応用しにくいといったリスクもあります。特に異業種の転職の場合、未経験から始まることが多いため、スキルの習得に時間がかかることもよくあります。また、新しい人間関係を築くのに苦労し、ストレスが増す恐れも十分にあります。
転職は、前職のスキルだけで判断するのではなく、新しい人間関係や仕事内容に適応できるかもよく考えた上で行うことが大事です。
転職は、よく考えた上で検討すること

意欲や体力などの面から、転職は若いほど有利であると考えられがちです。
ですが、転職には一定のスキルと経験が必要なため、入社後すぐに転職するのはおすすめできません。20代後半~30代前半を目安に、ある程度経験を積んでから転職すれば、転職先でもスキルを活かしやすくなります。
また、転職活動をする際は、なぜ転職するのかを必ず明確にしておきましょう。年収をどれくらい上げたいのか、どんなスキルを身につけたいのかを考えれば、自分にとって関心のある求人を探しやすくなります。転職理由を考える際は、人間関係の悪化などできるだけマイナスな理由を挙げないようにすることが大事です。
転職には、新しい人間関係の構築、スキルの習得など、様々な課題があります。転職を考えている方は、本当にそうする必要があるのかを立ち止まって考えることも必要です。注意点を知り、自分に合った転職ができると良いですね。
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