パソコン、スマホ、ゲーム機など、デジタル機器の使用がごく当たり前になりつつ現代。大人だけでなく、子どももスマホを持つ光景をよく見かけるのではないでしょうか。
スマホは非常に便利なツールです。一つ持っているだけで、連絡、ゲーム、勉強などが簡単にできます。そんなスマホですが、中には「子どもが何時間もスマホをいじっていて、生活に支障をきたさないか不安……」と悩む親御さんも少なくありません。
子どもがスマホを使う際には、いくつかの注意点があります。ここでは、子どものスマホ使用の注意点や、上手くスマホと向き合う方法についてお伝えします。
そもそも、なぜ子どもはスマホを使用してはいけないのか?

子どものスマホ使用については、多くの方が心配されています。「依存症にならないか心配」など、その悩みは尽きないのですが、そもそもなぜ子どもはスマホを使用してはならないのでしょうか?ここでは、子どもがスマホを使用することのデメリットを紹介します。
食事や睡眠がおろそかになりがちだから
子どものスマホ使用に不安を抱える理由として、生活リズムが乱れるかもしれないからというものがあります。ゲームや動画視聴でスマホに夢中になっていると、子どもはどうしても時間を忘れてしまいます。放置すると、使用時間に区切りをつけられず、「ご飯を食べるのが面倒」「夜更かししてでもスマホを見ていたい」とスマホに依存しやすくなってしまいます。
実際に、子どもが食事をあまり摂らずにスマホを使っていたり、寝不足で不機嫌になっていると、親は「これでいいのか?」と心配になります。子どもがスマホを持って以来、何らかのネガティブな変化があった場合は、適切な対処が必要になるでしょう。
勉強時間が削られてしまう可能性があるから
子どものスマホ使用を禁止する理由で最もよくあるのが、勉強時間の短縮です。スマホでゲームをしたり、友達と何時間も連絡し続けていると、「うちの子どもは全く勉強していない」と焦ってしまいがちです。
実際、ある研究では、スマホを長時間使用するほど成績が落ちていくといった報告もあります。
一方、年齢が上がるにつれてスマホが勉強時間に与える影響は少なくなっているという報告もあることから、必ずしもスマホの使用が勉強時間の短縮につながるわけではないことがわかります。
スマホと勉強時間の関係については、意見が分かれています。ですが、実際に子どもが何時間もスマホに夢中になっている様子を見ていると、親が心配になるのは自然なことでしょう。もし子どもがスマホ以外に関心を示さない場合は、これも対処が必要になるでしょう。
人間関係を上手く築けないかもしれないから
子どものスマホ使用で心配になるのが、人間関係です。近年はSNSの普及によって、遠くからでも友達と簡単に連絡が取れるようになっています。ですが、SNSを正しく使えていないと、かえって人間関係が悪化してしまうこともあります。
また、ゲームなどに依存すると、現実のことがおろそかになりがちで、友達と上手く付き合えない可能性も浮上します。特に没頭癖のある子どもは、自己管理が難しいこともあるので、周りの協力が必要になります。
もしスマホ使用で生活に支障をきたしている場合は、親がスマホ使用のルールを決めるなどして、管理した方が良いでしょう。それでも対処しきれない場合は、医療機関を受診し、専門家のアドバイスを受けるのが良いでしょう。
トラブルに巻き込まれそうだから
子どものスマホ使用について心配になるのが、犯罪や金銭トラブルに巻き込まれないかということです。インターネットは、子どもから大人まで、様々な背景を持つ人々が利用しています。中には悪質なユーザーもおり、直接出会わないかと誘ったり、金銭を要求してくることもあります。
現代で特に注目されているのが、子どもの課金です。子どもはゲームにのめり込むと、親の知らぬうちに課金をしてしまっていることもあります。許可を得ない課金は、果てがないので問題となりやすいです。スマホにはこのようなトラブルも潜んでいるために、使用を制限するという親御さんも少なくありません。
子どもがスマホを使用してはいけない理由には、勉強時間の短縮やトラブルのリスクなど、様々なものがあります。実際に使用を制限する方の多くは、スマホが子どもの発達に影響を与えることを心配しています。もし子どもが長時間スマホを使い、他のことがおろそかになっている場合は、適切な対処が必要になるでしょう。
子どもはなぜスマホを使用したいと思うのか?

長時間のスマホ使用には、生活リズムの乱れや人間関係の悪化など、様々なリスクが潜んでいます。親としてはできるだけ時間を制限したいところですが、子どもの中には「スマホをたくさん使いたい」と思う子もいるかもしれません。
では、子どもはなぜスマホを使いたくなってしまうのか、その背景には何があるのでしょうか?ここではその理由を詳しくお伝えします。
ストレスが溜まっているから
子どもがスマホを長時間使ってしまう理由として、ストレスの蓄積があります。例えば、「勉強内容が難しすぎて、ついていけない」「友達と上手くいっていない」など、成績不振や人間関係でストレスを抱えている場合があります。
また、家庭でも「親が話を聴いてくれない」「親の言いなりになっている」と感じると、子どもはその反発心をスマホ使用に向けやすくなります。スマホを使うことで、自分の好きな世界に入り込み、現実の辛さを解消しようとするのです。ですが、これは根本的な解決にはならず、症状を悪化させてしまう恐れがあります。
寂しいと感じているから
子どもがスマホを長時間使用することには、寂しさが関係しているのかもしれません。特に、家で一人留守番をする時間が長かったり、すぐに遊べる友達がいないと、子どもは強い孤独感を抱くことがあります。
一方、スマホを使えば、すぐに友達と連絡しやすくなり、また動画視聴やゲームで簡単に気晴らしができます。このことから、スマホを使う時間が長くなってしまうことがあります。特に、SNSの使用に慣れると、「常に誰かとつながっていないと不安」になってしまい、スマホ依存を強めることがあります。
スマホ以外の娯楽がないから
子どもがスマホに没頭する理由として、スマホ以外の娯楽が見つからないからというものもあります。スマホは一つ持っているだけで、ゲーム、動画視聴、音楽鑑賞など、多くのことが楽しめます。一方、テーブルゲームやカードゲームなどは、一人では楽しみにくい娯楽であり、人が集まらないとできません。
スマホは一人でいても十分に楽しめるため、留守番が多い場合は、どうしてもスマホに没頭しがちです。スマホの使用に慣れてくると、「一人でいても大丈夫だ」と思うようになり、周りとのコミュニケーションに消極的になる可能性もあります。
子どもがスマホを使用する理由には、ストレスが溜まっている、寂しいと感じている、スマホ以外の娯楽がないなど、様々なものがあります。子どもがスマホを使用するのは、単にスマホが楽しいからだけではなく、現実に何らかの不満を抱いていることもあります。もし親がスマホ制限をする際は、まず子どもの様子をよく観察することが大事になるでしょう。
スマホと上手く向き合うためには?3つのポイントを紹介します

子どもがスマホを長時間使用する背景には、ストレスの蓄積や孤独感が潜んでいることもあります。そのため、一方的にルールを押し付けるのではなく、まずは子どもの言葉をしっかり聞き入れることが重要です。ここでは、スマホと上手く向き合う方法をお伝えします。
まずは子どもの話を聴く
スマホの使用について考える際、どうしてもルールを決めることから始まりがちです。ですが、これは一方的なルールの押し付けになってしまう可能性もあります。子どもが納得できるためにも、まずは子どもの話を聴くことから始めましょう。
子どもが長時間スマホを使用する背景には、学校生活の不満や留守番の孤独感など、一人では対処しきれない問題が隠れていることもあります。もしそのような問題が浮上した際は、悩みに共感し、一緒に解決案を考えてみましょう。「友達のどんなところが嫌だったのか、どうすれば仲良くしていけるか」「親の帰宅後は、一緒に遊ぶ」など、具体的な案を出すと、行動しやすくなります。
また、完全な解決にはならずとも、問題と向き合ったという姿勢は、子どもに大きな影響を与えます。子どものスマホ使用を調整する際は、真摯な姿勢を示すように心がけましょう。
具体的なルールを決める
子どものスマホ使用を制限する際は、ただ「スマホ禁止」と言うのではなく、スマホと上手に向き合うための具体的なルールを決めると良いでしょう。例えば、1日のスマホ使用時間は1~2時間にする、食事中や寝る前はスマホを見ないなど、数字や時間を意識したルールがおすすめです。
また、ルールを決める際は、目的も明確にすると納得感が増します。ゲームを1~2時間にするのであれば、勉強時間を確保するためにそうすることを伝えるようにしましょう。また、寝る前にスマホを見ないことは、十分な睡眠を取るためであることも伝えましょう。
スマホを上手に使うためのルール(例)
- スマホは1日1~2時間にする→勉強時間を確保するため、周りとの交流を大事にするため、など。
- 食事中や寝る前は、スマホを見ない→食事や睡眠に集中するため。生活にメリハリをつけるため。
- ダウンロードするアプリの数を決める→スマホの使用時間を減らし、他のことに時間をあてるため。脳への負担を減らすため、など。
- 課金する際は、必ず親に相談する→金銭トラブルを防ぐため。
- 宿題や課題が終わるまで使わない→勉強時間を確保するため、など。
最近は、インターネットでもルールのチェック表がアップされています。コピーして壁に貼るなど、ルールが目に付くようにしておくと、良いリマインダーになるのでおすすめです。
自分の感情をコントロールする
子どものスマホ使用を制限する際に気をつけたいのが、親自身の感情です。子どもがスマホに夢中になっていると、どうしても怒ったり、一方的なルールを押し付けてしまいがちです。
ですが、これはかえって子どもの心理的負担になり、逆効果になってしまうこともあります。子どもがストレスを和らげるためにスマホに依存し、その態度に親もますますストレスが溜まってしまう……そんな悪循環が生まれてしまう可能性があるので、要注意です。
子どものスマホ使用を調整する際は、まずお互いにしっかり話ができる時間を設けましょう。はじめは子どもは面倒がるかもしれませんが、相手の感情に寄り添いつつ、問題と向き合う姿勢を見せ続ければ、子どもも少しずつ理解を示してくれるかもしれません。何のためにどのようなルールを作るのか、丁寧に説明した上でスマホ使用を調整するように心がけましょう。
自分の感情をコントロールする方法
- 子どもをしっかり観察する:子どもがどんなストレスを抱えているのか、なぜスマホを長時間使用するのかを知る。
- ルールの目的を明確にする:スマホ使用を制限する場合は、なぜそのルールが必要なのかを説明する。(例:睡眠時間を確保するために、寝る前はスマホを使用しない)
- 焦らない:特に子どもがスマホに慣れている場合、すぐにスマホを引き離すのは難しく、実際にそうするとストレスになりやすい。じっくり向き合う姿勢を持つ。
スマホ以外の娯楽を見つける
子どものスマホ使用を調整する際は、スマホの使用時間を決めるだけでなく、他の娯楽を探すことも大事です。読書、スポーツ、映画鑑賞、自由研究、創作活動など、子どもが興味を示しそうなものを提案してみましょう。
その際、他の娯楽のメリットも伝えられるとなお良いです。例えば、読書や創作活動には想像力を豊かにし、生活を充実させるという長所があり、スポーツには体を動かし、楽しみながら健康を目指せるといった長所があります。子どもがなかなか興味を示さない場合は、家族や友達と一緒に取り組むと、少しずつ楽しめるようになるかもしれません。焦らず、じっくり興味を発掘するようにしましょう。
おすすめの娯楽
- スポーツ:サッカー、野球、テニス、バレーボール、バスケットボールなど。子どもの興味に合わせ、好きなものに取り組む。体を動かせるので、健康にも良い。
- 読書:一人でも取り組める趣味。図鑑や小説など、好きな本を読むことで、想像力や教養を深められる。
- 創作活動:絵描き、執筆、ものづくりなど。手先や頭を使うので、良い刺激になる。
スマホの使用を調整する場合は、子どもの話に耳を傾ける、目的がはっきりとしたルールを作るなど、丁寧な対処を心がけましょう。スマホを全面禁止にすると、反動でストレスが爆発してしまう恐れがあるので、上手に向き合うことを意識しましょう。
スマホは全面禁止ではなく、上手に向き合うことを意識しよう

子どもが長時間スマホを使っていると、「早く制限しなくては」と焦りがちです。ですが、突然スマホを取り上げてしまうと、子どもは大きなストレスを感じてしまいます。
子どもがスマホを使用する背景には、人間関係のストレスや孤独感が潜んでいる可能性もあります。そのため、子どもの様子をじっくり観察しながら、少しずつ使用を調整するのが望ましいでしょう。
スマホ使用を制限する際は、理由もしっかり伝えられることが大事です。単に全面禁止にしてしまっては、子どもは納得できません。勉強時間や睡眠時間を確保するために使用を控えるなど、目的を明確にした上でルールを作るようにしましょう。焦らず、一歩一歩進むように心がけられると良いですね。
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